法務局における自筆証書遺言書保管制度
2021-04-01
2020年(令和2年)7月10日、法務局における
自筆証書遺言書保管制度がスタ-トしました。
内容を確認します。
【1】制度の概要
自筆証書遺言書を作成した本人が法務局(本局・支局等)
に遺言書の保管を申請することができる制度です。
保管制度を利用すると遺言者だけでなく相続人や受遺者
等にもメリットがあります。
【2】遺言者のメリット
(1)紛失・亡失を防ぐことができます。
自宅で保管すると紛失・亡失し、
遺言者の死亡後,発見されないおそれがあります。
(2)他人に遺言書を見られることがありません。
他人に見つかった場合,勝手に開封されてしまうおそれがあります。
他人に破棄されたり,改ざんや隠匿されるおそれがあります。
【3】相続人・受遺者等のメリット
(1)速やかに相続手続ができます。
遺言者の死亡後,家庭裁判所での検認手続は不要です。
(2)証明書の請求ができます。
相続人や受遺者等は,遺言者の死亡後,
全国の遺言書保管所で下記の手続ができます。
①「遺言書保管事実証明書」の交付請求
遺言書が保管されているかどうかを調べることができます。
②「遺言書情報証明書」の交付請求
遺言書の内容の証明書の交付を請求することことができます。
③遺言書の閲覧請求
遺言書保管所において遺言書の内容を見て確認することができます。
ただし遺言書原本の閲覧については,遺言書が保管されている
遺言書保管所に限られます。
(注)②③の請求をした場合
その他の相続人等に対して法務局から遺言書が
保管されている旨の通知がされます。
【4】保管の申請に必要なもの
(1)自筆証書遺言書
用紙の大きさはA4版,片面で,とじたり封のされていないもの
(2)申請書(法務省指定の様式)
(3)添付書類(本籍の記載のある住民票の写し等)
(4)本人確認書類(マイナンバ-カ-ドや運転免許証等の顔写真付きの身分証明書)
(5)手数料(1件につき3,900円(収入印紙で納付))
【5】保管の撤回
遺言者は、いつでも保管の申請の撤回をすることができます。
この撤回は遺言者本人でないとできません。
法定代理人又は任意代理人による手続きは認められません。
この撤回は預けた遺言書を返却してもらうためのものなので、
遺言の撤回とは別となります。
もし遺言の撤回をするならば、別の遺言で当該遺言を撤回するか
返却された遺言書を破り捨てる必要があります。
相続を争続にしない為に遺言書は効果があります。
作成を検討してみましょう。
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