海外にある資産に関する税務
2019-06-04
今回は特に個人が海外に保有する資産に関する
税務を確認します。
最近特に国税庁が重要視している分野です。
【1】外貨預金
外貨預金は多くの金融機関で取り扱われ、
円建て預金と同じく普通預金、定期預金などがあります。
円建て預金との大きな違いの1つは、預け入れ時や満期時、
途中解約の引き出し時に、為替手数料がかかることです。
(1)国内の銀行に預け入れている場合
外貨預金の利息に対する税金としては、円建ての預金の場合と同様、
20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税なので、
利息受取時点で課税関係は終了するので、確定申告は必要はありません。
(2)海外の銀行に預け入れている場合
利息に対して国内の源泉徴収制度が適用されないため、
利子所得として確定申告する必要があります。
ただし、外国と国内で二重課税にならないようにする外国税額控除を
適用して、利息に対して外国で課税された税金の内、一定額については
外国税額控除することができます。
(3)為替差損益に関する税金
①為替差益の場合
原則として雑所得(総合課税)として他の所得と一緒に所得税、
住民税の課税対象になり、確定申告が必要です。
②為替差損の場合
為替差損が出た場合は、確定申告の必要はありませんが、
他の雑所得(総合課税)があれば、この為替差損と相殺することができ、
雑所得に対する税金を減らすことができます。
【2】外国上場株式
これは外国企業が発行して外国市場で上場している株式を言います。
(1)国内証券会社を経由する場合
①配当
原則として申告する場合は総合課税か申告分離課税を選択可能です。
日本の証券会社を通じて購入すると、多くの場合特定口座であらかじめ
源泉徴収された金額のみ支払われるので、申告が不要です。
②譲渡損益
株式譲渡益に対しては上場非上場に関わらず20.315%
(所得税15.315% 住民税5%)の申告分離課税となります。
(2)海外証券会社と直接取引する場合
①配当
原則として現地での源泉徴収分のみ引かれて現地通貨で入金されるので、
日本の税金分については確定申告が必要ですが、現地での源泉徴収分
のうち一定額については外国税額控除することができます。
②譲渡損益
株式譲渡益に対しては上場非上場に関わらず20.315%
(所得税15.315% 住民税5%)の申告分離課税となります。
譲渡損が生じた場合には国内の上場株の譲渡損益と損益通算ができますが、
非上場株式の譲渡損益や配当所得などとは損益通算ができません。
【3】海外の不動産
(1)賃貸料
国内不動産と同様、不動産所得として課税されることになります。
また、海外不動産の場合には、原則として、現地国でも課税される
ことになり、現地国での確定申告も必要となります。 現地国で課税
された税金にのうち一定額については外国税額控除することができます。
(2)譲渡損益
国内不動産と同様、申告分離課税の譲渡所得とされます。
また外国税額控除の適用については上記【3】(1)と同様です。
【4】その他
今回触れていませんが、海外資産についての税務については
国内での確定申告時に日本円での換算が必要になります、
どの時期のどのレ-トを採用するかなどのル-ルもあります。
事前に調べたうえで対応しましょう。