給与所得者と副業の税務
2021-01-08
給与所得者の方は年末調整制度により課税関係が終了するため、
一般的に申告手続きに慣れていない場合が多いです。
今回は副業の申告義務や所得区分に注目してみます。
【1】申告義務の有無
年末調整を受けた給与取得者は、他の給与所得や退職所得
以外の所得の合計額が20万円以下であれば
基本的には確定申告する必要はありません。
【2】所得金額とは
20万円以下の判定でみる所得金額は
収入金額 ― 必要経費 = 所得金額
で求めます。
【3】副業としてのパ-ト・アルバイトの場合
副業が給与所得に該当する場合
20万円以下の判定は収入金額で判定します。
所得金額ではないので注意が必要です。
【4】シェアリングエコノミー
①場所・乗り物・モノ・人・お金などの遊休資産を
インターネット上のプラットフォームを介して
個人間で貸借や売買、交換することです。
②フリマアプリやインターネットオークションによる個人間の売買は
基本的に雑所得となります。
ただし自分の生活で利用していた家具や着なくなった衣服など
(以下「生活用動産」)の売買により生じた所得については、
所得税は課税されません。
ただし、生活用動産であっても、1単位当たりの金額が30万円を超える
貴金属や美術品の売買により生じた所得は課税されます。
③民泊による不動産の貸し付け
個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、
一般的に、利用者の安全管理や衛生管理などを伴うもので、
単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、原則的には
不動産所得ではなく、雑所得となります。
④カーシェアリングによる自家用車の貸し付け
自家用車を貸し出したことにより生じた所得は、
基本的には雑所得に該当します。
【5】フリ-ランスの場合
①フリーランスとは、会社や団体などに所属せず、
仕事に応じて自由に契約する人のことです。
おもにライターやカメラマン、デザイナー、プログラマーなどの
職種において、個人で仕事をしている人が多いです。
②事業所得か雑所得
その所得で生計を立てている規模であれば事業所得となりますが、
給与所得者の副業としてのフリ-ランスの所得は雑所得となると
考えられますが、明確な線引きが示されてはいません。
【6】課税強化の動き
サラリーマンの副業が増加していることもあって、
税務当局がその「税逃れ」対策を強化しています。
2020年からは事業者(プラットフォ-マ-等)への情報提供の協力要請や、
高額・悪質な無申告者を特定するための報告を求める仕組みが整備
されています。
令和2年分の確定申告がはじまります。
該当する方は早めの手当てが寛容です。
山口会計 山口