月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

インボイス制度における免税事業者の対応

2022-05-17

2023年10月1日(令和5年10月1日)よりインボイス制度が導入

される事になりました。

消費税を納める必要のある企業や個人事業主はもちろんですが、

免税事業者についても影響があると考えられます。

少し注目してみます。

【1】インボイス制度(正式名称は「適格請求書等保存方式」)

 (1)インボイスとは

   「適用税率や税額の記載を義務付けた請求書」のことです。

 (2)インボイス制度とは

   「記載義務を満たした請求書」によって消費税を計算し

   納付しましょう、という制度です。

 (3)記載内容

  1)適格請求書発行事業者の、氏名または名称および登録番号

  2)取引年月日

  3)取引内容軽減税率の対象品目である場合はその旨)

  4)税率ごとに合計した対価の額および適用税率

  5)消費税額

  6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

 

【2】すべての事業者がインボイスを発行できるか?

 (1)発行できる事業者

  発行する要件として「消費税の課税事業者」でなければなりません。

  かつ、所轄税務署に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  登録をすると登録番号が発行されます。
  
 (2)発行できない事業者

  1年間の課税売上高が1,000万円未満の事業者については

  納税が免除されます。これが消費税の「免税事業者」です。

  消費税を納めていない事業者である「免税事業者」は

  インボイス制度から除外され「適格請求書」を発行することが

  できない事になります。

 

【3】売上1000万円以下の免税事業者への影響

 (1)最大の問題点

  適格請求書を発行できない事業者からの仕入れは

 「仕入税額控除」ができない、という点です。

  取引先が「仕入税額控除」の適用を考慮すると、

  当然課税事業者から仕入れる事を考えます。

  つまり

  仕入側(課税事業者)「適格請求書を発行して下さい」 

     ↓
  売主側(免税事業者)「登録してないので発行出来ません」

     ↓
  仕入側(課税事業者)「申し訳ないが今後は他の課税事業者から仕入れます」

  となる事は容易に想像出来ると思います。

  (2)対策として

  免税事業者の方が取引を続けたいのであれば

  「消費税課税事業者選択届」を税務署に提出して

   課税事業者にならなければなりません。

   今まで消費税納税分が免税になっていた免税事業者の方も、

   インボイス制度により納税義務が生じる事になるのです。

 

【4】免税事業者がとるべき対応・課税事業者と取引する場合

 (1)「適格請求書発行事業者」の登録申請

  免税事業者の方が令和5年10月1日から課税事業者となるためには、

  令和5年3月31日までに「適格請求書発行事業者」の登録申請をする

  必要があります。
 
  期限を過ぎて登録申請をした場合、

  10月1日からの適格請求書発行には間に合いません。 

  翌事業年度からしか適格請求書は発行できませんので注意が必要です。

 (2)「消費税課税事業者選択届出書」の提出

  令和5年3月31日以降に「適格請求書発行事業者」

  の登録申請をする場合には上記の事業者登録に加えて

  「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければなりません。

 

【5】免税事業者がとるべき対応・免税事業者と取引する場合

 「適格請求書」を必要としない個人や一般消費者との取引を

 メインにしている場合もあります。

 またインボイス制度が実施されるまで事業を続けない場合もあります。

 このような場合には、免税事業者のままでも問題ありません。

 課税事業者と取引する場合に免税事業者ではいけない!!
 
 という法律はありません。

 しかし商取引上の問題として課税事業者を選択せざるを得ない状況が訪れるかも知れません。

 早めに取引先と打ち合わせして、準備することが肝心です。
 

  山口会計 山口

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