コロナ見舞金の所得税の取扱いについて
2021-06-09
従業員に対し給与とは別に見舞金を支払った事業者もいると思います。
給与となると所得税の対象になってしまいます。
それでは支給した事業者の思いとは食い違いが生じます。
実際のところを確認してみましょう。
【1】コロナウイルスの影響による見舞金の取り扱い
新型コロナウイルス感染症の影響により、
従業員に対して給与とは別に見舞金を支払った場合は、
下記の要件を満たすことで非課税所得として取り扱われます。
要件は下記の通りです。
①その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を
受けるものであること
②その見舞金の支給額が社会通念上相当であること
③その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと
【2】心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものとは
①心身に加えられた損害とは
従業員本人が新型コロナウイルス感染症を患った場合や、
緊急事態宣言がされる前と比較して、
心身に負担が大きく生じたと認められる場合等をいいます。
②資産に加えられた損害とは
従業員家族に新型コロナウイルス感染症を患った人がいる
ために家財を破棄しなくてはならなくなった場
合等をいいます。
【3】見舞金の支給額が社会通念上相当であることとは
著しく高額な金額は認められないということです。
高額であるかの判断は、見舞金の支給額が、
従業員等ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や
感染の事実に応じた金額となっており、
そのことが従業員の慶弔規程等において明らかにされているか、
過去の慶弔金の取り扱いと比較して同等の取り扱いになっているか
等で行います。
【4】役務の対価たる性質を有していないこととは
役務の対価たる性質を有していないこととは、下記のようなものを除いたものをいいます。
①本来受けるべき給与等の額を減額した上で、
それに相当する額を支給するもの
②感染の可能性の程度等にかかわらず従業員等に
一律に支給するもの
③感染の可能性の程度等が同じと認められる従業員等のうち
特定の者にのみ支給するもの
④支給額が通常の給与等の額の多寡に応じて決定されるもの
【5】総括
基本的には給与課税されるケースは少ないと思いますが、
特定の従業員に偏った支給を行うと給与認定される可能性があります。
これが親族従業員だったりするとなおさらです。
気を付けましょう。
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