フリーランス保護法が2024年11月1日に施行されました
2024-12-04
フリーランス保護法が2024年11月1日に施行されました。
内容を確認してみましょう。
【1】フリーランス保護法とは
フリーランスが安心して働けるよう、仕事を依頼する企業などに対し、
ルールの順守を求めた法律です。
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。
「フリーランス新法」と呼ばれるケースも見受けられますが、
基本的には同じ法律を指していると考えてよいです。
【2】保護の対象者
フリーランス保護法は、企業と取引する特定受託事業者に適用されます。
具体的には、以下となります。
(1)従業員(※)を雇用しない個人事業主
(2)役員1名のみの小規模法人
(3)特定の業務委託契約に基づいて働く個人
※従業員・・週労働20時間以上かつ31日以上の雇用見込み
対象の業種や職種に制限はなく、幅広いフリーランスが保護の対象です。
具体的な職種例を記載すると、以下となります。
ITエンジニア・デザイナー・ライター・コンサルタント・俳優など、
多様な分野で活動するフリーランスが含まれます。
副業や兼業でフリーランス活動を行う個人も、
法律の保護対象となる可能性があるでしょう。
また税理士や公認会計士、弁護士などの士業も従業員を雇わなければ
対象者となります。
【3】フリーランス保護法の特徴
フリーランスの権利について、総合的に保護する点にあります。
具体的には
「取引条件の明示義務」
「報酬支払いの義務」
「不当な契約解除の防止」などが定められています。
また、ハラスメント対策も義務付けられており、
フリーランスにおける心身の健康や尊厳を守ることが目的です。
【4】取引条件の明示義務
事業者は、フリーランスとの取引開始前に
「業務内容や報酬額」
「契約期間」
「契約解除の条件」などを、
書面や電子的な手段(メールなど)で明示する必要があります。
【5】報酬支払いの義務
事業者は、契約で定められた期日までに報酬を支払わなければならず、
支払い遅延や不当な報酬の減額は禁止されています。
規定には
「支払期日の遵守」
「不当な報酬減額の禁止」
「報酬の全額支払い義務」などが規定されています。
発注した物品等を受け取った日から数えて、60日以内の出来る限り
早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払うことが必要です。
【6】不当な契約解除の防止
事業者は「フリーランスの重大な契約違反」や「予期せぬ事業縮小」
といった正当な理由がない限り、
事業者が一方的に契約解除をすることはできません。
場合によっては損害賠償の支払いが必要になるでしょう。
6か月以内の業務委託を中途解除したり、更新しないこととする場合は、
・原則として30日前までに予告
・フリーランスから理由の開示の請求があった場合には、理由の開示
が必要となります。
【7】ハラスメント対策
事業者は、フリーランスに対するハラスメント防止に向けて、
適切な措置を講じる必要があります。
具体的には、
「防止方針の明確化」
「相談窓口の設置」
「対応方法と再発防止策の実施」などが挙げられます。
【8】罰則
フリーランス保護法に違反すると、事業者は「厳しい罰則」
を与えられる可能性があります。
また、罰則の種類や程度は違反内容によって異なり、
軽微な内容から重大な内容に至るまで、幅広く設定されています。
あらためて内容を確認すると、商取引上当たり前のように思えることが
多いですが、業務の依頼者と受託者の力関係で曖昧になっていたことが
多かったと推察されます。
今後はフリ-ランスがより安心して働ける環境が整備されるでしょう。
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