マイナンバ-の銀行口座への付番推進
2019-09-02
平成31年度税制改正の中で納税環境整備の視点から
マイナンバ-の銀行口座への付番推進が
盛り込まれました。
おさらいしながら内容を確認してみます。
【1】マイナンバ-とは
(1)内容
マイナンバーは、日本国内に住むすべての人を12桁の数字で管理
しようという制度です。個人と番号が一対一で対応しますので、
個人情報の追跡や照合が簡単になるというメリットがあります。
(2)適用範囲
H28年1月の制度開始と同時に適用されるのは
「社会保障」「税制」「災害対策」の3つの分野についてだけでしたが、
ほかにも適用が検討されている分野はいくつもありました。
【2】マイナンバ-と預金口座の関係
(1)適用開始
預金情報との連動も、適用拡大が望まれていた分野のひとつでしたが、
平成30年から預金口座にも適用できるようになりました。
(2)任意適用
当初は任意となり、口座開設時や来店時にマイナンバーの提供が
求められることになりましたが、それを拒否することは認められています。
【3】預金口座への適用のメリット・デメリット
(1)メリット
①不公正税制の是正
現在の税制は、必ずしも公正なものとはいえない部分があります。
給与所得者の場合は勤務先に源泉徴収されるので、所得は税務署に
把握されていますが、
自営業者や農林水産業者の場合には、正確な所得を把握すること
が困難な場合があります。
(多くの方々は正確な確定申告がされていますが。)
そこで、マイナンバーを預金口座と関連づければ、
これまでよりも資産を正確に把握できるようになり、
脱税を防ぐシステムが構築できることになります。
②不正受給の是正
数年前に問題となった生活保護の不正受給問題も、資産を把握すること
で同様に是正することができるでしょう。
(2)デメリット
デメリットはやはり、プライバシーの問題です。
マイナンバーという制度そのものに対してもプライバシー侵害
が叫ばれているのが現状です。預金口座まで適用されるとあっては、
生活の大部分が行政に筒抜けとなりかねません。
【4】H31年税制改正大綱
(1)内容
金融機関が番号未告知者のマイナンバーを振替機関から提供を受けて
確認したときは、その番号未告知者がその金融機関等にマイナンバー
の告知をしたものとみなし、その番号未告知者に支払う配当等に係る
支払調書等にマイナンバーを記載するとしました。
(2)具体的に言うと
年金機構や税務署、社会保険事務所、市役所等のすでにマイナンバー
を取得している機関が、還付金・年金・生活保護費等を振り込む際には
マイナンバーを付番して実施し、その際に銀行口座にマイナンバーが
付番されていない場合には、銀行が付番することが可能になります。
自主的に金融機関にマイナンバーを伝えていないにもかかわらず
銀行口座に付番することが可能となるのです。
制度が好ましいか好ましくないかは別にして
常日頃からきっちりと生活している人であれば、預金口座に適用されても
さほど困ることはないと思えればよいのですが。
山口会計 山口