前回の続きです。
・会社の退職金
・小規模企業共済
・個人型確定拠出年金
を貰う場合の注意点を
記載します。
【1】小規模企業共済
共済金および解約手当金の税法上
の取扱い
①共済金(準共済金)を一括で受け取る場合
退職所得扱い
②共済金を分割で受け取る場合
公的年金等の雑所得扱い
③共済金を一括・分割併用で受け取る場合
・一括分・・・退職所得扱い
・分割分・・・公的年金等の雑所得扱い
④共済契約者が亡くなったために遺族が
共済金を受け取る場合(死亡退職金)
(相続税法上)みなし相続財産
⑤65歳以上の方が任意解約をする場合
(解約手当金)
退職所得扱い
⑥65歳未満の方が任意解約をする場合
(解約手当金)
一時所得扱い
・・・上記以外にもありますが
下記では①と⑤を想定します。
【2】個人型確定拠出型年金
共済金および解約手当金の税法上
の取扱い
①年金として受け取る場合
雑所得(公的年金等)となり
公的年金等控除が適用されます。
②一時金として受け取る場合
退職所得扱い
・・・下記では②を想定します。
【3】退職金等を受取る場合の注意点
①退職金、小規模企業共済、確定拠出年金
を同時に一時金でもらう場合
退職所得控除はそれぞれの金額の
合計ではなく、どれか一つ分となります。
1)退職金分 在職35年
2)小規模企業共済 加入歴35年
3)確定拠出年金 加入歴35年
前回記載の計算式から
70万×(35年-20年)+800万=1850万
1850万が退職所得控除となります。
1850万×3=5550万とはなりません。
②時期をずらす
上記①のように同時に受け取ると
重複期間として制限されますが
一定期間を空けることにより
制限されなくなります。
1)小規模企業共済
「同じ年とその前年4年間」です。
つまり、5年以上期間を空けて一時金を
貰うと退職所得控除が満額使えます。
2)確定拠出年金
こちらも考え方は同じですが
空ける期間は
「同じ年とその前年14年間」です。
つまり、15年以上期間を空けて一時金を
貰うと退職所得控除が満額使えます。
【4】理想的な貰い方(例)
制度上のことだけで判断する
理想的な貰い方の一例です。
①60歳
確定拠出年金は60歳で満期となります
原則的にはその時点で支給開始です。
この時は退職所得控除を満額差引けます。
②65歳
65歳以上で小規模企業共済を一時金
で貰います。
①から5年以上空いているので
退職所得控除を満額差引けます。
③70歳
70歳以降に会社から退職金を貰います。
②から5年以上空いているので
退職所得控除を満額差引けます。
上記は1つの例ですが実務的には
退職金以外は一時金ではなく
年金形式で貰うことも
検討してもよいと思います。
いずれにしろ制度をよく理解して
ご自身のリタイヤメントプラン
を考えましょう。
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