会社経営と社会保険加入義務
2014-07-31
会社・事業を運営する上で社会保険制度の
理解は必須となります。
特に加入義務・社会保険料などが重要です。
簡単にまとめてみました。
【1】社会保険とは
広義では、公的医療保険、年金保険、労働保険を合わせたものをいいますが、
狭義では、医療保険である健康保険と年金保険である厚生年金保険を指します。
今回は特に狭義な部分をクロ−ズアップします。
【2】適用事業所
社会保険は、事業所を単位に適用されます。
社会保険の適用を受ける事業所を適用事業所といい、
法律により 加入が義務付けられている「強制適用事業所」と、
任意で加入する「任意適用事業所」の2種類があります。
一旦適用事業所になると、
加入を希望しない従業員も含めて適用することとなります。
また脱退は出来ません。(廃業は別として)
(1)強制適用事業所
常時5人以上の従業員が働いている事業所と、
5人未満でも全ての法人事業所は、法律によって、
事業主や従業員の意思に関係なく加入しなくてはなりません。
⇒法人組織は強制加入!!!
(2)任意適用事業所
5人未満の従業員を使用する個人事業所です(一定の条件必要)
【3】社会保険料
健康保険料と厚生年金保険料の2つがありますが、
どちらも事業主(会社等)と被保険者(従業員)が折半で負担します。
いいかえると、従業員の給与から天引きした金額の同額を会社等が支出をして
会社等がまとめて社会保険として納付します。
(1)例示(東京都の社会保険料率の場合)
男性38歳・独身・雇用保険の一般事業
月額給与300,000円
−(健康保険 14,955+厚生年金25,680=40,635)・・・料率表より
− 雇用保険 1,500 ・・・5/1000
− 源泉所得税 6,850 ・・・源泉徴収税額票より
= 手取額 251,015円
※加入する団体によって、保険料率は変わってきます。
上記の保険料は協会健保の場合です。
(2)会社負担額は
上記の例示の場合、事業主である会社等は40,635円×2=81,270円
を納めることになります、従業員から預かった社会保険料40,635円
以外に40,635円を別途支出することになるのです。
同額の従業員が2名いれば自己負担額は40,635×2=81,270円
10名いれば40,635円×10=406,350円となります。
年間で考えると406,350円×12月=4,876,200円の負担となります。
【4】資金繰り
社会保険料の会社等負担分は当然経費となります、しかし、毎月支払う
べき固定費となるので、給与の支払と同様に毎月の資金繰りに影響
を及ぼすものとして計算しておかなければなりません。
【5】社会保険のメリット
(1)将来の年金
厚生年金の方が国民年金よりも年金額が多くなります。
もらえるか、もらえないかという議論を抜きにすれば、
国民年金よりも厚生年金の方がもらえる年金額が多くなります。
(2)人材採用
社会保険の加入メリットの最も大きなものは採用です。
身内や知合い以外を採用する場合は最低条件とも言えます。
(3)社会保障としての機能
生活する上での疾病、高齢化、介護などの事故(リスク)に備えて、
事前に強制加入の保険にはいることによって、事故(リスク)が起こった時に
現金又は現物給付により生活を保障する相互扶助の仕組みとなります。
いずれにしろ、資金と保障を理解した上で加入することが重要です。
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