住宅取得資金の贈与について
2012-11-29
住宅取得資金の贈与について
年末になると贈与税の相談が増えます、やはり年末調整や確定申告の関係で
個人のお客様とお会いする機会が増えることが影響しているようです。
中でも多い相談は「子供の自宅購入資金を少しでも援助したい!」という
ご両親からの相談です。
贈与税について簡単に整理してみましょう。
【1】通常の贈与税
①贈与税は暦年課税制度を適用しています、簡単に言うと1月1日から12月31日までの
1年間を計算期間として計算するものです。
②贈与税の申告・納税は財産の贈与を受けた者(もらった人)が
行わなければなりません。
財産を渡した者が申告・納税をしなければならないと誤解しているケース
を散見します。
③年間で110万円(基礎控除)までは贈与税は課税されません。
これは財産の贈与を受けた者が年間で110万円までは税金が0円
ということになります。
あくまでも「もらった人」を基準に考えます。
例えば ●AさんがBさんから110万円の現金贈与を受けた場合は
・・・110万 — 110万(基礎控除) = 0 ・・Aさんの課税対象0円
●AさんがBさん・Cさんからそれぞれ110万の現金贈与を受けた場合は
・・・(110万+110万)— 110万(基礎控除)= 110万
・・・Aさんの課税対象110万
となります。
【2】住宅取得資金の贈与の特例
*** 親世代から子等への住宅取得資金の贈与税の非課税特例 ***
簡単に書くと、子供が住む住宅を購入するときに親が購入資金を贈与した場合は
一定の要件に該当すれば一定の金額まで贈与税を非課税にする制度です。
以下に要件を整理します。
①制度のあらまし
平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から
住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに
その住宅取得等資金を自分が住む一定の家屋の新築若しくは取得又は一定の増改築等
の対価に充てて、その家屋を同日までに自分が住んだとき又は同日後遅滞なく
自分が住むことが確実であると見込まれるときは、一定金額について贈与税が非課税
となります。
②受贈者の要件(もらう人について・・・重要です))
次に掲げる要件の全てを満たす者であること。(AーDのすべて)
A・次のいずれかに該当する者であること。
イ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
ロ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、
かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したこと
があること。
B・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。
C・贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
D・贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
③非課税限度額
次の区分により、平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間の受贈者1人に
ついての非課税限度額は、原則として次のとおりとなります。
A・ 省エネ等住宅の場合
最初に非課税の特例を受けようとする贈与を受けた年に応じて、
次の金額が非課税限度額となります。
イ 平成24年のときは1500万円
ロ 平成25年のときは1200万円
ハ 平成26年のときは1000万円
B・A以外の住宅の場合
最初に非課税の特例を受けようとする贈与を受けた年に応じて、
次の金額が非課税限度額となります。
イ 平成24年のときは1000万円
ロ 平成25年のときは 700万円
ハ 平成26年のときは 500万円
④注意点
紙面の都合上、原則的な部分しか記載していません。
下記に注意すべき点を記載します。
A・購入・新築・増改築する家屋についての要件
B・購入先についての要件
C・省エネ住宅の要件
C・申告についての要件
D・その他
いずれにしろ贈与税は思わぬ形で税額が発生する場合があります。
しかもその税額(税率)は高めです。
また、今回は記載していませんが上記の他に
「住宅取得資金贈与に係る相続税精算課税制度の特例」
という制度もあります。
贈与についてお考えの方は是非事前にご相談下さい。様々な特例の適用を検討して
できるだけ少ない負担でご希望の贈与ができるよう検討しましょう。