個人で独立して働く
2018-12-03
昨今、会社での副業が認められつつあります。
そのため今後、副業から転じて「個人事業」として独立する方が
増えてくると想定できそうです。
そこで今回は、個人事業主になった場合
の働き方、社会保険、税金面を考えてみます。
(内容は個人事業者としての独立開業で
法人設立の場合とは違います。)
[1]会社員との違い
(1)自分の裁量で働く
勤務時間や休日は自分で決められることになります。
また定年がなく長く働けます。
半面、仕事が終わらない限り休めない等もあります。
(2)労働保険等は受けられない
独立した個人事業者になるため
雇用保険や育児休業給付などは受けられません。
(3)公的年金が少ない
会社員よりも公的年金などが少なくなります。
ただ、デメリットばかりではありません。個人事業主
だからこそ適用できる制度もありますので後述します。
[2]病気などへの備え
(1)国民健康保険
個人事業主は国民健康保険に加入する形になります。
通常の場合、窓口での自己負担は3割なので会社員時代の
健康保険と変わりませんが、国民健康保険には基本的に
傷病手当金などがありません。
(2)民間医療保険
個人事業主は病気などで仕事を休むと直接収入減少につながります。
そのため民間医療保険などを利用して休業補償に見合うような
入院1日当たりの補償を確保するのも重要です。
(3)所得補償保険
就業不能保険等ともいわれます。入院や在宅療養で就業不能に
なった時に定額の給付金が毎月支払われる。給付金額は
契約次第で10万円、15万円、20万円等と設定できますが
保険料との兼ね合いもあるので、バランスよく加入する必要があります。
[3]老後の備え
(1)小規模企業共済
個人事業主には退職金は無いので小規模企業共済に加入して
自分で退職金相当額を積み立てることも必要です。
掛け金は社会保険料控除と同様に全額が所得税・住民税計算上
控除対象となります。
(2)個人型確定拠出年金
いわゆるiDeCoに代表されるものですが、こちらも掛け金は
社会保険料控除と同様に全額が所得税・住民税計算上
控除対象となります。
(3)保険料の考え方
上記(1)(2)のいずれも自身で保険料を積み立てなければなりませんが
会社員時代に天引きされていた厚生年金保険料の支払いはなくなって
いますので保険料を比べてみて内容を理解してから加入しましょう。
[4]確定申告
(1)自分で計算
①会社員
会社員の時は会社がすべてを計算して給与から社会保険料、所得税、住民税
を差引いて納税まですべて代わりに行ってくれていました。
その反面、自分自身の税金の金額等を把握している方は少ないようです。
②個人事業主
請求書、領収書などの書面・デ-タを保管・集計して決算書を作成して
自らの税金を計算しなくてはなりません。
納税金額・納税時期を把握して年間の資金繰り計画が必要になります。
会社員時代も同様に納税しているのですが、自分で納付する様になって
初めて税目の多さや、納税感を感じる方が多いです。
③集計方法
現在は比較的安価な会計ソフトでも銀行口座やクレジットカ-ドを登録すると
取引デ-タを自動取得できたり、スマホでレシ-トを読み込んで経費精算が
できたりします。
経理処理の手間と時間を短縮して本業に専念することができます。
[5]開業の2形態
開業される方は、最初から法人を設立する方もいますが、まずは個人で
開業して、一定の規模になったところで法人にする、いわゆる「法人成り」
を選ぶ方も多いです。いずれが良いかは一概に言えませんが、事業形態、
取引相手との関係など総合的に勘案して選ばなくてはなりません。
迷う方はぜひ相談してください。
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