月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

個人の平成25年証券税制改正に関する注意点

2013-08-30

平成25年税制改正に伴い個人証券税制に関して大きな2点の変更があります。

1つは少額投資非課税制度(日本版ISA:愛称NISA)です。

平成25年末に上場株式の配当・譲渡益に対する軽減税率の終了に
合わせて導入されます。

もう1つは公社債の課税方式の変更と損益通算の範囲の見直しです。

今回は特に後者についての注意点を挙げていきたいと思います。

(NISAについては証券会社等のパンフレット等で確認してみてください。
また、税務上の注意点などは今後検証してから話題にしていくつもりです。)

【1】上場株式の軽減税率の廃止

 上場株式・公募株式投資信託の配当・分配金、譲渡益への

 現行の10%(所得税7%、個人住民税3%)の税率は、

 平成25年末に期限を迎え、平成26年1月1日

 からは税率は20%(所得税15%、個人住民税5%)に引き上げられます。

→考慮すべき点

 長期保有を目的としていても現在過大な含み益を持つ上場株式などは
 
 税率の上昇前に含み益を顕在化させることを検討しなければなりません。

 ただし再度買い戻す場合は、同一日で取引する場合に2点注意点があります。

  ①仮想売却や相場操縦の疑いがもたれる危険性があります。
   もちろん売買する株式数によって判断も変わりますが
   証券会社などに事前に相談しておくとよいでしょう。

  ②特定口座における同一日の売買は原則的に時間に関係なく
   買いが先行する・・・予定通りの利益が計上されない可能性があります。

 
いずれにしろよほど証券売買に詳しい方以外は事前に証券会社に

相談することを勧めます。

【2】公社債税制の見直し

 こちらはかなり項目が分かれるところですが

 まずは平成28年1月1日以後証券会社などの

 金融取引業者等を通じて開設した特定口座においての

 取り扱いが可能となり、同時に以下の改正が適用されます。

 以下いずれも平成28年1月1日以降に適用されます。

 ①特定公社債関係
 
 ・特定公社債等の利子・譲渡所得を税率20%の申告分離方式に変更する。

  現状の利子所得は税率20%の源泉分離課税・譲渡所得は非課税

 ②特定公社債以外の公社債及び私募公社債投資信託など

 ・利子所得については税率20%の源泉分離課税が維持されるが譲渡所得については

  非課税から税率20%の申告分離課税に変更されます。

 ③例外

  同族会社が発行した社債の利子および償還差益で支配株主が受けるものは総合課税の

  対象となります。

【3】金融商品間の損益通算

 現行では上場株式等の譲渡所得等と非上場株式などに関する譲渡所得等に

 ついて損益通算が可能ですが、改正後は通算ができなくなります。

  例えば、中小企業のオーナーなどが自社株を後継者などに譲渡した際の

 譲渡益と、含み損を抱えた上場株式の売却による譲渡損失との損益通算は

 これまでは可能でしたが、平成28年以降は不可能になります。

 この点は特に注意が必要です。

今回の証券関係の改正は金融商品の性格によって様々な規定があるので

詳細は記載できませんが、細かい内容や取り扱いについてはぜひご相談

ください。

                                    山口会計 山口

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