個人型確定拠出年金の利用法
2015-03-02
老後のお金を増やす手段のひとつとして、
税制上の優遇措置があり自分で運用ができる
「確定拠出年金」があります。
今回は自営業の場合でも、個人で加入できる
「個人型確定拠出年金」に注目してみます。
【1】個人型確定拠出年金に加入できる人とは?
加入できる人は、20歳以上60歳未満で、
(1)自営業者等国民年金第1号被保険者
(2)企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金など)
のない会社に勤めている人(国民年金第2号被保険者)等です。
反対に加入できない人は、勤め先に企業年金制度がある人や
公務員等共済組合に加入している人、
専業主婦等の国民年金第3号被保険者等となっています。
【2】個人型確定拠出年金の最大のメリットは税金の優遇
税金の優遇措置は、掛金拠出・運用・給付と
大きく3つの場面に分けられます。
(1)掛金拠出時
支払う掛金全額が所得控除となって所得税・住民税が
軽減されるのが大きなメリットです。
(2)運用時
収益は、利息や分配金、配当、売却益などを含め全て非課税です。
(3)受取時
年金で受け取る場合には公的年金等控除が、
一時金で受け取る場合には退職所得として扱われるため
退職所得控除が適用されます。
【3】個人型の加入で注意すべきこと
(1)手数料コストを考慮する。
個人型確定拠出年金の場合は、すべての手数料が自己負担となるため、 手数料をコストとして意識しておく必要があります。
また、金融機関により異なる手数料ですが、
手数料が安ければよいかというと一概にそうともいえません。
金融機関によって運用商品のラインナップが違いますから、
自分が運用したい商品を扱っているかという視点も大切です。
(2)働きかたによって運用指図しかできなくなる場合も
さらに、先述した加入資格要件があるため、 個人型を始めた後に転職したり専業主婦になったりして、
企業型や個人型加入資格に該当しなくなれば掛金を拠出し続けることはできず、
運用指図をするのみとなります。
その場合、掛金の拠出による所得控除のメリットがなくなり、
先述の運用・給付場面における税金優遇メリットのみになるため、
場合によっては手数料だけがかさんでしまうことも考えられます。
(3)目的は老後のお金
この制度は老後資金の積み立てを目的としているので、
基本的に60歳以降から運用したお金を手にすることになります。
そのため、積み立ての途中でマイホームや教育費にお金が必要になったとしても、
その目的でお金を取りだすことは原則的にできません。
【4】まとめ
預金だけではなかなか老後資金が増えないので、
投資運用も取り入れたいと考えるなら個人型確定拠出年金は
大いにメリットがある手段のひとつと言えます。
ただし、一旦始めると後戻りや変更がしにくいことを考えあわせると、
自分のライフプランや働き方、そして老後のお金をいかに準備するか?
をしっかり見渡したうえで始めたい制度といえるでしょう。