団信と相続税
2014-03-31
相続税の申告をしていると、ご自宅の住宅ロ−ン返済中に
相続が開始する場合もあります。
平成27年以降の相続税の課税強化を考えると今後増加すると
考えられますので少し説明したいと思います。
【1】団体信用生命保険とは
団体信用生命保険(通称「団信」と言われています)は、
住宅ローンの返済途中で、契約者が死亡、高度障害になった場合に、
本人に代わって生命保険会社が住宅ローンの残債を支払うものです。
一般的な家庭ではご主人が保険契約者かつ被保険者で、
奥様(とご子息)が保険金受取人となるケ−スが多いです。
現状住宅ロ−ン利用者の95%以上が加入していることを考えると、
無視できない制度であることは間違いありません。
もし団信に加入していない場合に一家の大黒柱に万が一のことが起こったら、
残された家族が住宅ローンを返済し続けなくてはなりません。
他の生命保険との兼ね合いもありますが、
マイホームに安心して住み続けるために、団信はとても重要なものといえます。
【2】団信と相続税
ポイントは2点あります。
(1)受け取った保険金は「死亡保険金」として相続税の課税対象となるのか
団信は契約者および受取人が金融機関となりますので、
たとえ被保険者(住宅ローン債務者)の死亡により支払われるものであっても、
その死亡保険金は相続税の「みなし相続財産」とはなりません。
つまり、相続税の課税対象とはならないということです。
(2)住宅ローンの残債は債務控除(相続財産からマイナス)ができるのか
過去の判例で
「団信の保険金により補填されることが確実である住宅ローンの残債は
相続人が支払うべきものではなく『確実な債務』にはあたらない」として、
債務控除は受けられないという取扱いになっています。
つまり、相続財産から差し引くことはできないということです。
【3】まとめ
団信付きの住宅ローンでマイホーム(土地・建物)を取得し、
完済する前に相続が開始した場合には、その被相続人の自宅関係の
遺産はマイホーム(土地・建物)のみとなり、
死亡保険金も住宅ローン残債もいずれも
相続税の計算からは除外されることとなります。
【4】一般生命保険でカバ-した場合
もし、被相続人が団信ではなく通常の生命保険に、
ローン残債と同額を死亡保険金として契約していたらどうなるでしょうか。
この場合には、死亡保険金がみなし相続財産となるのに対し、
ローン残債は債務控除が適用できますので
やはりプラスマイナスゼロのように思われます。
ところが、みなし相続財産としての生命保険金について、
生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えますので、
団信と比較するとその分相続財産が減る可能性があります。
もちろん生命保険については加入形態、手続きなど気をつける点も多々
ありますので、総合的に考えて加入しなければなりません。
心配な方は一度全ての保険の保障内容を再確認してみてはいかがでしょうか。
山口会計 山口26.3.31