国外居住親族
2024-02-06
令和5年1月から改正された国外の居住親族に係る
扶養控除の要件について再確認します。
【1】国外居住親族とは
税務上の国外居住親族とは、「非居住者」である「親族」のことを言います。
ここで、非居住者とは、国外に住所を有し、かつ、
1年以上も日本に居所を有さない個人のことです。
そのため、例えば、日本人であっても、留学等で1年以上海外に居住する場合には
「非居住者」である「親族」として、国外居住親族に該当し、
扶養控除の適用を検討することとなります。
【2】国外居住親族を扶養親族とする要件
(1)令和4年12月までの要件
扶養控除の対象となる国外居住親族は、
扶養親族(居住者の親族のうち、合計所得金額が48万円以下である者)
かつ16歳以上という要件でした。
(2)令和5年1月以降
上記(1)のうち年齢が『30歳以上70歳未満』の扶養親族については、
下記①から③のいずれかに該当する必要があります。
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
②障害者
③その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための
支払を38万円以上受けている者
(3)必要書類
年齢にかかわらず、以下の書類はこれまで通り必要となります。
①親族関係書類
②送金関係書類(送金額の基準は特に定められていません)
(4)追加された要件の確認書類
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
留学ビザ等
②障害者
特に追加の書類の提示は明示されてはいないが、
国外居住親族の障害者手帳、診断書など障害の程度が分かる書類の準備が必要です。
③その居住者から38万円以上受けている者
38万円送金書類
(5)各書類の内容
①親族関係書類
次の(A)又は(B)のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを
証するものをいいます。
(その書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます)
(A) 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び
国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
(B) 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類
(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります)
②送金関係書類
居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、
各人に行ったことを明らかにする下記の書類をいいます。
・金融機関が発行した書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引により
居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
(外国送金依頼書の控えなど)
・いわゆるクレジットカード発行会社が発行した書類またはその写しで、
国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを利用して
商品の購入や役務提供を受けたことに対する支払をしたことにより、
その代金に相当する額の金銭を居住者から受領し、
または受領することとなることを明らかにする書類
(クレジットカードの利用明細書など)
③留学ビザ等
外国における査証(ビザ)に類する書類の写し 又は
外国における在留カードに相当する書類の写し
④38万円送金書類
「送金関係書類」のうち、居住者から国外居住親族である各人へのその年における
支払の金額の合計額が38万円以上であることを明らかにする書類をいいます。
【3】送金に関する注意点
複数人の国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける場合は、
その親族ごとに送金等を行うことが必要となります。
したがって、例えば、配偶者と子が国外居住親族に当たる場合で、
配偶者に一括して生活費を送金しているときは、
その送金関係書類は配偶者に係る送金関係書類には該当しますが、
子に係る送金関係書類には該当しないことになります。
令和5年分の年末調整・確定申告にあたり改めて確認が必要な場合もあります。
注意しましょう。
山口会計 山口