年末調整の電子化!!
2020-10-11
今年から年末調整申告において
・保険料控除申告書(生命保険・地震保険)
・住宅借入金等特別控除申告書
・住宅借入金等特別控除証明書及び年末残高証明書
の電子データ提供が開始されます。
そこで現状のメリット・デメリットを整理します。
【1】概要
これまで従業員がハガキで受け取り、多くは書面に直接記入していた
・保険料控除申告書
・住宅借入金等特別控除申告書
・住宅借入金等特別控除証明書及び年末残高証明書
を電子データで会社に提供できる、ということが最大の特徴です。
※年末調整を電子化にする為には、下記申請書を、遅くとも年末調整計算をする月の前月までに提出をする必要があります。
【年末調整】源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/6089_01.htm
【2】会社側のメリット
①従業員が年調ソフトで作成した年末調整申告書データを利用することにより、控除額の検算が不要となります。
②控除証明書等データを利用した場合、添付書類等の確認に要する事務が削減されます。
③従業員が年末調整申告書作成用のソフトウェアを利用して控除申告書を作成するため、記載誤り等が減少し、従業員への問合せも減少することが期待されます。
【3】会社側の現状のデメリット 「電子と紙の併用」
電子化の浸透を阻む壁として、今回の電子化はあくまで義務化ではなく任意のものである、という点です。
つまり電子申請と紙申請が混在することになります。電子申請と紙の混在は担当者に二通りの届出チェックを強いることになります。
また給与システム等が年末調整申告書データの取り込みに対応する必要もあります。
【4】従業員のメリット
・従業員は、これまでの手書きによる手続を省略でき、年末調整申告書の作成を簡素化できます。
・書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、保険会社等に対し、再発行を依頼しなければなりませんでしたが、その手間も不要となります。
【5】従業員のデメリット
事前準備が多い点です。
・申告データを取得できるPC環境の準備
・これまで自宅に送られてきたハガキではなく、従業員自身で各保険会社,金融機関へ証明書の発行依頼を行い、各社のHPからファイルを取得しなければなりません。
・マイナンバーカードの取得やマイナポータルの開設手続が必要になります。
【6】今年の年末調整で電子化利用するには
正直なところ中小企業で本年から電子化するのは難しく思います。
少なくとも下記の点のクリアが必要と思います。
・手間を減らすため、電子申請への統一(紙申請の撤廃)
・取り込める給与システムの導入
・従業員全員のシステム申請に向けた研修
・社会保険・小規模企業共済がまだ電子化に対応していないこと。
・全ての保険会社が電子化に対応しているわけではないこと。
ただ将来は完全電子化されてきます。より早く準備することは大事です。
山口会計 山口