成年年齢引き下げに伴う相続税・贈与税への影響
2022-04-13
民法改正により成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、
令和4年(2022年)4月1日から施行されることとなりました。
相続税・贈与税においても20歳を基準としている規定が、
改正により18歳へ引き下げられます。その影響を確認します。
【1】未成年者控除
(1)相続人の中に未成年者がいる場合には、
その未成年者に対し相続税が一定額控除される制度です。
控除の額は、未成年者が成人に達するまでの年数に
10万円を乗じた金額になります。
(2)法定相続人が18歳未満の者である場合には、
18歳に達するまでの年数(1年未満の端数は切り上げ)
に10万円を乗じた金額を、
相続税額から控除するよう改正されました。
控除できる相続税額が2年分(20万円)少なくなったといえます。
【2】相続時精算課税制度
(1)原則60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上(改正前)
の子または孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。
(2)この制度の適用を受けることができる者は、
贈与者の推定相続人で贈与の年の1月1日において18歳(改正前:20歳)
以上の者とされ、2年早く適用が受けられるようになりました。
【3】直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の特例税率
(1)暦年課税の贈与税の税率は、一般税率と特例税率があり
特例税率の方が税率が軽減されています。
(2)父母や祖父母などの直系尊属から暦年贈与を受けた場合
受贈者の年齢により税率が異なります。
2022年3月31日までの贈与は、その年の1月1日において
20歳以上の場合に特例税率が適用されますが、
2022年4月1日以後は18歳以上の受贈者に特例税率が
適用されます。
【4】直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税
(1)父母や祖父母などの直系尊属から贈与により
住宅取得資金の贈与を受けた場合に、一定の金額に
について贈与税が非課税となる特例です。
(2)この特例の受贈者の年齢要件が贈与を受けた年の
1月1日において20歳以上の者とされていましたが、
2022年4月1日以後はその対象者が18歳以上の者とされました。
【5】直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
(1)結婚・子育て資金に充てるため、
父母や祖父母などの直系尊属から一定の契約に基づいて
贈与により取得した金銭の内1000万円までが非課税
となる特例です。
(2)この特例の受贈者の対象年齢が
2022年3月31日以前は「20歳以上50歳未満」でしたが
2022年4月1日~2023年3月31日までは
「18歳以上50歳未満」となりました。
【6】遺産分割協議
相続人の中に未成年者がいる場合、その未成年者は
遺産分割協議に参加できません(法律行為が制限されるため)。
そのため家庭裁判所で特別代理人の選任を受け、その特別代理人が
その未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。
改正前は20歳以上でなければ遺産分割協議に参加できませんでしたが、
令和4年4月1日以降であれば、同日時点で18歳以上の相続人は
遺産分割協議に参加することができるようになりました。
参考までに、「飲酒」「ギャンブル」「養子をとることができる者」等
の年齢は民法改正後も20歳以上のままです。
ご注意ください。
山口会計 山口