成年後見制度②
2018-01-05
新年おめでとうございます。
今年も、よろしくお願いします。
今回は特に相続手続上の留意点
について記載したいと思います。
【1】成年後見の趣旨
成年後見制度は本人の財産を保護
するための制度であり、
その推定相続人の利益を図るため
のものではありません。
さいたま家庭裁判所の
「後見申立の手引き」
には次のように書かれています。
『本人の財産を投機的に運用すること
や自らのために使用すること、
親族などに贈与・貸付けをすることなどは、
原則として認められません。
相続税対策を目的とした贈与や
アパート建築等についても同様です。』
つまり相続税対策等はできません。
基本的に現状維持となります。
【2】遺産分割協議
後見人が選任されると、
他の相続人は後見人と遺産分割協議を
行います。
協議がまとまったら他の相続人及び
後見人で遺産分割協議書を作製して
他の相続人の書名捺印、被後見人
である相続人の名前を記した後に、
後見人が自身の書名捺印をして
遺産分割協議が完了します。
【3】留意点
①法定相続分以外での分割
遺産分割では相続人全員の合意があれば
法定相続分でない割合で分割しても
構いませんが、例えば
被後見人「甲」の法定相続分を減らして
兄弟「乙」の相続分を増やしたほうが
総合的に相続税の面から有利で
あったとしても、後見人は「甲」の
法定相続分を減らす分割協議内容に
同意するわけにはいきません。
②生前贈与
教育資金の一括贈与などを行い
相続財産を減少させる行為は
たとえその行為が相続税の節税効果
があり、かつ子世帯の家計に経済的効果
をもたらすとしても後見人が勝手に
財産の移転をすることは許されません。
上記のように制度としては大変有意義
なものではありますが、
メリット・デメリットを理解したうえで
利用することが重要です。
山口会計 山口