教育資金贈与、結婚・子育て資金贈与の特例
2020-12-03
教育資金贈与、結婚・子育て資金贈与の特例の非課税規定については共に令和3年3月31日に期限を迎えます。
駆け込みで適用できますので概要を確認してみます。
【1】贈与税の原則
原則として1年間(1/1~12/31)に贈与を受けた財産の合計額が110万円
までであれば贈与税は非課税ですが、これを超えると課税されます。
【2】教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
孫や子等の直系卑属に対する1,500万円までの教育資金の贈与が非課税になる
という制度です。用途は教育に関することに限定されますが、
110万円を大幅に超える非課税枠があるため、
一括で多くの贈与を行うことができます。
(1)教育資金の範囲
①学校教育法で定められた学校等に対して支払われる金銭
(非課税限度額1,500万円)
これらの教育施設へ直接支払う入学金や授業料等の金銭が対象になります。
この他、学校等が業者等を通じて購入や支払を依頼しているものについては
教育資金の対象になる場合があります。
②学校等以外に支払われる金銭のうち教育を受けるため社会通念上相当と認められるもの
(非課税限度額500万円)
学習塾等の教育に関する役務の提供の対価や施設の使用料、
スポーツや文化芸術に関する活動にかかる指導への対価、
これらに使用する物品の購入に要する金銭などが教育資金の対象になる場合があります。
(2)制度利用のために
信託銀行などに専用の口座を作り、そこにお金を預けることで
孫や子等が教育資金として利用できます。
(3)相続開始前3年以内の贈与の相続税課税価格に加算されない
本制度を利用すると3年以内に相続が発生したとしても、
相続税の課税価格の加算対象にはなりません。
ただし、贈与を受ける孫や子等が23歳以上の場合において、
信託期間中に贈与を行った祖父母等が亡くなったときは、一定の場合を除き
死亡日時点の管理残額は祖父母等の相続税の課税対象となり、
その納税義務者は孫や子等となります。
(4)注意点
①贈与を受ける孫や子等の所得要件
贈与を受ける孫や子等の前年の合計所得額が1,000万円を超える場合は、
本制度の新規契約と追加の贈与はできません。
②使いきれなかった分には贈与税がかかる
教育資金以外の用途で利用した場合には、贈与税の課税対象となります。
また、財産が使いきれずに余ってしまった場合は、
使いきれなかった分に贈与税が課税されます。
③領収書等が必要になる
教育資金として使用したことを証明するために金融機関に領収書の原本を
提出する必要があります。
ただし提出先の金融機関が対応している場合は、
スマートフォンアプリ等を使用して領収書を提出することができます。
【3】直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
祖父母や両親が20歳以上50歳未満の子どもや孫に、結婚・子育て用のお金を
1,000万円の範囲までは非課税で贈与ができる制度です。
(1)非課税枠の割振り
贈与した金額のうち結婚資金として使える金額は300万円までの制限があります。
1,000万円の贈与を受けて結婚費用として300万円を使った場合、
残りの700万円は子育てや育児の費用として使うことになります。
(2)制度利用のために
信託銀行などに専用の口座を作り、そこにお金を預けることで
利用できます。
(3)注意点
①贈与を受ける者の所得要件
贈与を受ける前年の受贈者の合計所得が1,000万円を超える場合は、
この制度の対象外となるので要注意です。
②領収書等が必要になる
結婚・子育ての費用として使った領収書を提出する必要があります。
③お金をもらった人が50歳になったとき
残高があれば、その残高に贈与税が課税されます。
④贈与者が亡くなった場合
結婚・子育て贈与のお金を使い切るまでに贈与した人が亡くなってしまった場合は、
亡くなった時点の残高は相続財産に加算されます。
【4】延長の可能性?
2020年12月1日上記両制度とも2年間の延長の検討がされていますが、
同時に適用要件を厳しくする検討もされています。
適用を考える方は、2021年3月までに正式な手続きをとれば現行法で適用されます。
早めに動きましょう。
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