相続税の税務調査
2015-10-30
相続税の申告が適正かどうかを調べる税務調査は8月以降に多くなります。
今回は自宅で行われる「実地調査」について記載してみます。
【1】一般的な流れ・1日の場合
①電話などで事前通知
調査に行く予約をすることです。
②実地調査(臨宅)
1)午前・10時から12時位
相続人への聞き取りが中心となります。
主に被相続人や家族の職業や年収・趣味・住所の遍歴等が聞き取られます。
2)午後・13時から16時位
通帳や印鑑等の物品の確認、そして書斎や机の引き出し・金庫等を確認されます。
③報告
当日の15時前後から、調査についての報告が調査官からなされます。
ここで申告漏れがあればその旨の指摘を受けることになります。 申告漏れががなければ、調査は終了します。
申告漏れの指摘があった場合は、内容確認の後、必要があれば修正申告書を提出し差額分の相続税を納付しなければなりません。この場合差額分についての罰金や利息を支払う必要が生じます。
【2】調査での確認事項
①被相続人の転居の有無
転居先での預金口座の存在や不動産の売買等。
②預貯金の管理者
お金の動きを把握していたのはだれか。
無くなる直前の預金の引き出しが無いか。
③家族名義の預貯金の有無
名義預金・実際のお金を出していたのは被相続人か?
④生前贈与の有無
財産の移転が無いか。
⑤生活費の状況
預金口座の増減が生活資金の動きとあっているか。
【3】名義預金
特に相続調査で申告漏れが多いのは「現預金」です。特に名義預金が多くなります。
これは実質的には被相続人の財産なのに、妻や子供名義の預金口座に預けておいたお金を言います。
また子や孫の通帳に被相続人が生前お金を移した場合に、子や孫が贈与を受けたことを認識しておらず、通帳や印鑑を被相続人が管理していた場合も名義預金と指摘されます。
【4】適正な申告を!
調査自体は特別怖いものではありません。ただ慣れていないもの、調べを受けるという、受身の対応にならざるを得ない状況が一番のストレスとなるでしょう。
対策としては、上記チェックポイントを理解して、できる限り漏れのない申告をすることしかありません。
その為には、ご自身の財産をわかりやすく整理しておくことも大事です。
場合によっては遺言書の作成等もよい方法です。
一度、考えてみましょう。