月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

退職所得課税の適正化とは?

2021-07-07

2021年税制改正項目である

「退職所得課税の適正化」とは

勤続年数5年以下の従業員に対して、

退職税制の節税メリットの根幹である1/2課税の適用を

制限したものです。

少し掘り下げて見てみましょう。

 

【1】改正の背景

 

 元公務員などが転職を繰り返して、

 多額の退職金を短期間で受け取るという

 「天下り」が社会問題となっていることがあります。

 つまり

 短期間のみ在職することが当初から予定されている従業員が、

 給与の受取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより

 税負担を回避するといった事例が指摘されたことが要因です。

 

 

【2】改正内容

 

 勤続年数5年以下の従業員の退職所得について、

 一定額以上の退職金を受給している場合は、

 退職税制の節税メリットの根幹である1/2課税の適用

 から除外することとなりました。

 

 

【3】適用除外

 

 雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を除いた支払額300万円までは

 引き続き続き2分の1課税を適用されます。(法人役員等は除く)

 

 

【4】適用時期

 

 この改正の実際の適用は令和4年(2022年)以降の所得税からとなります。

 

【5】退職所得税制のメリット

 

 参考までに、退職所得税制がどういった点で

 恵まれているかについて説明します。

 退職所得の計算式は以下のとおりです。

 退職所得=(収入-退職所得控除額)×1/2

 

 ①退職所得控除額

  勤続年数に応じて変わります。

  1)20年以下   40万円 ×勤続年数 (80万円に満たない場合には、80万円)

  2)20年超    800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

 

 
 ②1/2課税

  退職金から退職所得控除額が引かれるだけでなく、

  それがさらに1/2になります。

 
 つまり退職所得控除額と1/2課税の二重のメリットを

 同時に受けられる税制といえます。

 

【6】総括

 

 法人の役員については5年以内の短期退職については

 既に適用されていましたが、

 従業員にも適用が拡大されたことになります。

 いずれにしろ退職金の支給については、

 退職給与規定等を整備して支給内容を明確にしておくことが必要です。

 特に役員退職金については議事録等に金額算定の根拠も
 
 記載しておくことが寛容です。

 

 
 山口会計 山口

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