月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

遺産分割の方法

2018-07-02

被相続人が遺言を残さずに死亡した場合に、

一旦は相続人全員の共有財産となったものを、

相続人間の話合いによって具体的に分割を確定させなければなりません。

今回は遺産分割の方法について記載します。

【1】現物分割

 

 



   A土地は長男に、B建物は長女に、預貯金と有価証券は次男に、などと遺産そのもの

 を現物で分ける方法を言います。

 相続財産がすべて現預金であれば分割しやすいのですが、そのような相続はあまりありません。

 そのため現物分割では、相続人間の取得財産額に差が出ることが多いです。

 そのような場合は一部の資産を売却するなどして、その差額を売却代金で調整したり、

 相続人の自己資金で調整(代償分割)します。

 

【2】換価分割

 遺産を売却してお金に代えた上で、その金銭を分ける方法です。現物分割では、

 遺産を各相続人の相続分通りに分けることは難しいため、各相続人の法定相続分通り

 に遺産を分割したい場合などにこの方法をとります。

 但し、この場合は、遺産を処分しますので、処分費用や譲渡取得税などを考慮する

 必要があります。

 

【3】代償分割

 遺産の土地建物を長男が取得する代わりに、長男が次男に500万円、長女に500万円

 を支払う・・・などのように、相続分以上の財産を取得する代償として他の相続人に

 自己の財産(金銭等)を交付する方法です。

 

 (1)代償財産の交付を受けた相続人

  相続により取得した現物財産の価額
       +
  交付を受けた代償財産価額
       =
  が相続した財産の総額となります。

 

 (2)代償財産の交付をした相続人

  相続により取得した現物財産の価額
       ―
  交付した代償財産価額
       =
  が相続した財産の総額となります。

 

【4】実務上の注意点

 

 (1)遺産分割協議書への記載

   上記の分割方法のうち特に「換価分割」「代償分割」を利用する場合には

   きちんと遺産分割協議書に記載しなければなりません、特殊な分割方法なので

   記載方法が曖昧な場合は贈与税と認識される危険もあります。

   この点については特に専門家に相談することお勧めします。

 (2)相続開始の日から10ケ月以内

   どのような分割方法で分割を確定するにしても相続開始の日(基本的には被相続人が亡くなった日)

   から10ヶ月以内に相続税の税務申告が必要になります。(相続税が発生する場合)

   分割確定したうえで相続税申告できる場合には、相続税を軽減できる特例を選択できます。

   逆に分割確定できない状況で申告期限を迎える場合は未分割の状態で各相続人が民法上の

   法定相続分で相続税の申告・納付をしなければなりません。

   当然税額の軽減は受けられません。

 (3)3年以内に分割を確定

   上記(2)の場合でも最終的に申告期限から3年以内に分割を確定させれば

   遡って税額の軽減を適用できます。

   できれば10ヶ月以内(遅くとも3年以内)には、遺産分割協議を確定させたほうが

   相続税が低くなります。

 

 10ケ月は長いようで短いです。

 相続財産の洗い出し、評価(価額付け)など相続財産の確認などにも

 相当の時間が必要になります。早めの話し合いが重要です。

 

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