金融口座情報の国際的な交換
2019-03-01
外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、
OECDにおいて、「非居住者に係る金融口座情報」を税務当局間で自動的に
交換するための国際基準である
「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」
が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。
簡単に内容を確認してみます。
【1】制度の内容
①概要
各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する
金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、
その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。
②具体的には
国内に所在する金融機関等は、平成30年以後、毎年4月30日までに
特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告し、
報告された金融口座情報は、各国税務当局と自動的に交換されます。
【2】参加国
CRSには日本を含む98カ国・地域が参加しており、
各国でCRS導入に向けた法整備が進んでいます。
17年9月からCRSに基づく情報を提供するのは、フランス、
ドイツ、英国など欧州諸国や、英領ケイマン諸島、英領マン島、
英領バージン諸島など一部のタックスヘイブン(租税回避地)が含まれます。
また、18年9月には日本やスイス、香港、シンガポール、中国、マレーシア、
オーストラリアなどが初回の情報交換をしました。
【3】提供される情報
日本に居住する個人が外国に金融口座を保有している場合、
CRSに基づき外国の税務当局から国税庁に次の個人情報、
収入情報、残高情報が提供されます。
①個人情報
氏名、住所、生年月日、居住国、納税者番号(マイナンバー)、口座番号
②収入情報
利子、配当、株・社債の譲渡代金などの年間受取総額
③残高情報
預貯金残高、有価証券残高などの口座残高
【4】海外口座情報55万件
国税庁は 2018.10.31、世界各国の口座情報を自動的に交換し、
64カ国・地域の金融機関にある日本人の
口座情報55万705件(速報値)を入手したと明らかにしました。
今後は所得や相続財産の申告漏れがある納税者に対して
順次税務調査が行われるでしょう。
万が一申告漏れ等がある場合は早めに対処しましょう。