金融資産の資産運用に関する税金の仕組み
2024-07-05
「資産運用」については積極的な方、消極的な方に分かれる傾向があります。
現在の日本は物価上昇が継続的になっているにも関わらず、
銀行預金の利息はほとんどつかない状況です。
イヤでも資産運用を考える方は多いと思います。
基礎知識として資産運用に関する税金についての
大枠を理解しましょう。
[1]預貯金や債券の利息を得た場合
(1)利子所得
預貯金または公社債(国債・社債)でついた利子や、
公社債を中心に運用する投資信託である公社債投資信託の
収益分配金などは「利子所得」となり、課税の対象です。
(2)利子所得の税金
利子所得に対して課せられる税金は、受け取った利子から源泉徴収されています。
税率は20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税5%)です。
税金がすでに差し引かれた金額を受け取ることになるため、
基本的に確定申告をする必要はありません。
[2]株式の配当金や投資信託の分配金を得た場合
(1)配当所得
株式の配当金や、投資対象に株式が組み込まれている投資信託から得た収益の分配などは
「配当所得」といいます。
(2)配当所得の税金
配当所得に対する税率は、証券取引所に上場している株式の場合は
20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税5%)です。
上場株式から受け取る配当金など所定の要件を満たしている場合は、
支払われる際に税金が源泉徴収されるため確定申告は必要ありません。
[3]株式や投資信託などの売却益を得た場合
(1)譲渡所得
株式や投資信託の売却で発生した利益は「譲渡所得」となり、課税の対象です。
(2)譲渡所得の税金
譲渡所得がある場合、他の所得とは分けて税金を計算し、
原則として確定申告をして税金を納めなければなりません。
税率は、20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税5%)です。
(3)確定申告が不要となる場合
➀「特定口座・源泉徴収あり」で取り引きすると確定申告は不要
証券会社で「特定口座・源泉徴収あり」を開設していると、
株式や投資信託などの取り引きで発生した譲渡所得に対する税金は、
金融商品取引業者が代わりに納めてくれます。
特定口座は、口座を保有している人の投資商品で発生した譲渡損益を、
証券会社が代わりに計算し「年間取引報告書」を作成してくれる口座です。
➁「特定口座・源泉徴収なし」で取り引きすると確定申告は必要
特定口座であっても「源泉徴収なし」を選択した場合は、
証券会社が作成する年間取引報告書をもとに口座を保有する人が
確定申告をして税金を納める必要があります。
➂「一般口座」で取り引きすると確定申告は必要
証券会社が年間取引報告書を作成せず、源泉徴収も行われない
「一般口座」で譲渡所得が発生した場合も確定申告が必要です。
(4)外国株式は注意が必要
投資しているのが外国株式の場合は、二重課税となるため注意してください。
外国株式の配当金は、まず外国の税金がかかり、
残りの金額に対して国内の税金がかかります。
確定申告をして 、外国税額控除と呼ばれる制度を利用すると、
外国分の税金は一定の範囲内で所得税から差し引くことができるのです。
これにより、余分に納めた税金は還付されます。
[4]資産運用で損失が出たときは確定申告をしましょう!!
損益通算
資産運用をして損失が出た場合は、課税対象となる所得がないため、
基本的に確定申告をする必要はありません。
しかし他の金融資産で利益がある場合は、確定申告をして資産運用での損失を相殺することで、
所得税や住民税の負担を軽減できることがあります。これを「損益通算」といいます。
「損益通算」できる組み合わせについては一定のル-ルがありますので注意しましょう。
[5]NISAを利用すると一定額の投資まで税金がかかりません
資産運用をするときは、NISAを利用することで一定額までの投資で得られた利益が非課税となります。
こちらについては以前のブログに記載していますので参照してください。
参照先*****https://www.yamaguchi-zeimu.com/chief-blog/2024年からの新しいnisa
資産運用では税金の知識が欠かせません、少しずつ理解を深めていきましょう。
山口会計 山口