電子帳簿保存法に対応した請求書の保存方法
2022-12-08
2年の猶予を経て、2024年1月から改正電子帳簿保存法が施行されます。
これから1年間でしっかり準備して事務作業に慣れることが必要です。
請求書の保存方法について確認します。
【1】電子帳簿保存法とは
請求書をはじめとする国税関係書類に関しては、
紙で授受した場合は「スキャナ保存」、
電子データ上で授受した場合は「電子取引」
として電子保存できるようになります。
(1)2022年1月の改正
2022年1月から電子的に授受した取引情報を紙面印刷して保存することが認められなくなります。
(この部分に2年間の猶予期間が設けられました。2023年12月に猶予期間が終わります。)
その他今までは厳格であったタイムスタンプ付与の要件が緩和されたり、
電子帳簿保存法の適用に関して税務署長から承認をもらう手続きが廃止される等
電子化を促す要件緩和が進められました。
(2)保存が必要となる請求書
「取引先から受領した請求書」と、「自社で発行した請求書(控え)」の大きく2種類があります。
また、請求書の種類が「紙の場合」と「電子データ(PDF等)の場合」
の2つがありますので、それぞれ分けて保存方法を決めておく必要があります。
【2】請求書を紙で受領した場合
取引先から紙の請求書を受け取った場合、請求書の保存方法は以下の2つです。
●紙のまま保存
●紙の請求書をスキャンし、電子データで保存
(1)紙のまま保存
多くの事業者にとって馴染みのある保存方法だと思います。
一連の会計処理が終わった後、書庫等に保管します。
・・・紙で受領した請求書は紙で保管してもよいのです・・・
(2)紙の請求書をスキャンし、電子データで保存
概ねの流れは以下の通りとなります。
①スマートフォンで紙原本の撮影orスキャナで読み込み
②読み取ったデータをシステム上にアップロード
③2ヶ月以内に画像データにタイムスタンプを付与する
(訂正削除の記録が残るシステムであれば、タイムスタンプ付与は不要)
④法的期間内システム上にデータを保管
・・・少しハードルが高いので最初は紙のまま保管を
選ぶ事業者も多いです・・・
【3】請求書を電子データで受領した場合
取引先から電子データの請求書を受領した場合、保存方法は以下の2つです。
●電子データのまま保存
●電子データを紙に出力して保存(2024年1月以降は廃止)
(1)電子データのまま保存
電子帳簿保存法の電子取引方式に則った保存方法です。
実際の運用としては、紙の電子化時と基本的には同じです。
(2)電子データを紙に出力して保存(2024年1月以降は廃止)
こちらは多くの事業者で行われている方法ですが、電子帳簿保存法の改正により、
2024年1月以降は認められない保存方法になります。
そのため、「電子データのまま保存」ができる体制を2024年までに
構築する必要があります。
体制作りだけでなく、実際の運用も事前に始めて慣れておかないと
2024年にバタつくことになります。
【4】電子データとして保存する際の要件
電子デ-タとして保存する際には下記の要件を満たす形で保管しなければなりません。
(1)電子データは受け取った日時がわかり、かつ訂正・削除の履歴が残るようにします。
これは、主にデータ改ざんの可能性をなくすためです。
(2)電子データが、どの帳簿に記載されているかを明らかにする必要があります。
主に検索機能を付帯させることで、すぐに見つけられるようにしましょう。
(3)電子データは、パソコンやプリンターを設置し、必要に応じて紙媒体にできる状態
をつくっておかなければなりません。
(4)誰でもできるよう操作マニュアルなども置く必要があります。
1年は長いようで短いです、まずは電子データの保存先・保存方法を定め、
そのあとで紙媒体(紙の請求書等)の電子保存まで対応するかを考える順番がよいと思います。
山口会計 山口