2024年からの新しいNISA
2023-10-10
NISA(少額投資非課税制度)は2024年1月から大幅に拡充されることになり、
個人の長期的な資産形成の促進につながることが期待されています。
概要を確認してみましょう。
【1】新しいNISAのポイント
①非課税保有期間の無期限化
②口座開設期間の恒久化
③つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
④年間投資枠の拡大
(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、
合計最大年間360万円まで投資が可能)
⑤非課税保有限度額は、全体で1,800万円
(成長投資枠は、1,200万円まで。つみたて投資枠1,800万円は可能)
⑥対象年齢は18歳以上
【2】現行NISAとの違い
(1)非課税保有期間の無期限化
現行NISAでは有期限だった非課税保有期間が、無期限(恒久化)とされ、
これまでよりも長期的な投資が可能になります。
(2)売却で投資枠が翌年以降復活
現行制度では、商品を売却した分の投資枠は使えなくなり、
売り買いは慎重に行う必要がありました。
一方、新しい制度では、売却した翌年に商品の元本価格分の生涯投資枠が
再利用できるようになります。
このため、ライフプランに応じて資金が必要な時は現金化し、
余裕ができれば再び投資をするなどが可能となります。
(3)非課税投資枠が拡大
これまでつみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円だった年間非課税投資枠が、
新NISAでは360万円と大幅に拡大。
【3】新しいNISAの成長投資枠とは?
成長投資枠とは、上場株式(日本株式や外国株式)、ETF(上場投資信託)、
REIT(上場不動産投信)や公募株式投資信託など幅広い商品を購入できる枠のことです。
従来の一般NISAの役割を引き継いでいます。
成長投資枠の年間投資枠は240万円、生涯の非課税保有限度額は1,200万円までです。
成長投資枠として投資できる対象商品は、一般NISAと概ね同じですが、
整理・監理銘柄に指定された上場株式、公募株式投信やETFのうち
「信託期間が20年未満」「毎月分配型」「高レバレッジ型」いずれかに当てはまる商品は、
安定的な資産形成にふさわしくないとされ、投資対象外となります。
【4】現行NISAから新しいNISAへ移行できる?
現行制度で投資した商品は新しいNISAに移行(ロールオ-バ-)はできません。
つみたてNISAと一般NISAそれぞれの非課税保有期間の中で運用していくことになります。
現行制度での投資分は新しいNISAの非課税措置の枠外となるため、
すでにNISAを利用している人は非課税枠がより大きくなると考えることもできます。
また、18歳未満を対象に年間80万円の非課税投資枠があったジュニアNISAは、
2023年末で新規の口座開設ができなくなり、2024年以降は新規購入もできません。
【5】2023年中に準備できること
既にNISAを活用している方も、これから始めようと考えている方も
新NISAを最大限活用するために今年のうちに準備しておくべきことがあります。
それは
新NISA口座を開設する証券会社を決め、現行NISA口座を開設しておく
ことです。
(1)2023年中に現行NISA口座を持っている場合はその証券会社で
自動的に新NISA口座が開設されることとなります。
(2)NISA口座を持っていない方は今のうちに現行NISA口座を開設しておけば
上記同様自動的に新NISA口座が開設されることとなります。
(3)ここでの注意ポイントは「一人につき一口座しかNISA口座を開設できない」
という点です。
証券口座はいくつでも開設することは可能ですが、
NISA口座は一つの証券会社でしか開設できません。
どこで開設するかによって投資できるファンド・手数料・利便性
などが大きく変わりますのでしっかりと選ぶ必要があります。
2024年まであと数か月と迫っています。ご興味ある方は準備を始めましょう。
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