2018-02-26
Special interview多摩冶金工業株式会社
澤田 博幸様
【~創業50年~ まずは品質。信用は後からついてくる。】
多摩冶金工業株式会社は創業50年を迎え、創業当時から山口会計とお付き合いのあるお客様です。
代表取締役である澤田博幸様自ら工場を案内してくださり、粉末冶金製品の製造過程について、丁寧に分かりやすくご説明してくださいました。
前社長(現会長)である澤田正様と現社長である澤田博幸様に、昭和43年に設立してからの50年のヒストリー・今後の展望について伺いました。
Interview
–粉末冶金製造を始めたきっかけを教えてください。
昭和29年に大学を卒業後、元々は機械製造会社に勤めていました。
それから、部品の高機能とコストダウンができる粉末冶金製造という業種があることを知りました。
日本でも始まったばかりのもので、このような方法で部品を作ることはとても画期的なことだと思って、この業界に入りました。
最初に入った会社は小さい会社で、給料も十分ではありませんでした。
でも、仕事には非常に興味があり、勉強のためだと思って10年程勤務しました。
–昭和43年8月に独立後、何が一番大変だったでしょうか?
初めは、八王子市中野町で工場を借りて、無我夢中で休みなく働いていました。
毎月の家賃の支払いなど、資金繰りがとにかく大変でした。
それから10年程して、今の場所に土地を買って、工場を建設しました。
昔は宅配便がなかったので、納品まで自社で行っていました。
▲昭和53年9月に現在の本社工場を新築した。本社工場の敷地は1117㎡ある。その6年後には、第二工場も増設している。
–どのように販路を拡大していったのでしょうか?
独立したての頃は、前に勤めていた会社から仕事をもらったりしていました。
その他、新聞や雑誌に載せたり、展示会に出したり、どんどんPR活動を行いました。
機械製造会社で勤務していた経験を活かして売り込みました。
大手が出来ないことをやったことも、信用につながったのだと思います。
▲工場には、圧縮成型機が多数並び、人の手も加わりながら作業が進んでいる。
圧縮成型機は、ステンレス粉や銅粉などの粉末を混合したものを用途に応じ指定された金型により所要の圧力で成型している。
–50年事業を続けられてきた秘訣を教えてください。
自動車部品などを契機に、だいたい10年周期でいい波がくることがありました。その時には機械設備などの投資にも力を入れてきました。
堅実にもの作りをしてきたこともあり、運や人との出会いにも恵まれました。
更に、大手の会社とのお付き合いもあり、そのことでも信用が増したと思います。
▲圧縮成型機で使用する金型セット。金型は会長と社長が設計し、その数は2,000セットを超える。
粉末をかためる製法のため、金型は非常に大事。いい金型を作ってしっかりセットしなければ、いいものは作れない。
–粉末冶金製造業において、貴社の強みや売りは何でしょうか?
大手やよそがやらないものを進んで作ること。
そして、外注には出さずに、自社で責任をもって製造すること。
工業と美術は違います。工業は、美術と違ってカタチに出来ればいい訳ではなく、使えないと意味がないです。それを踏まえて、確実に仕事をすることが、信用の実績につながります。
お陰様で、現在、お得意様にも恵まれています。
▲200tの圧力成型機。中小企業でこの大きさの成型機を導入しているところは少ない。
大きな成型機を使いこなすには、熟練の技術が必要。勤続25年以上の現工場長と前工場長が担当している。
–事業をしていて、一番嬉しかったことは何でしょうか?
会長:波はあったけれど、仕事が順調にいったこと。そして、息子が社長を継いでくれたこと。
社長:お客様のご要望に応えていい物を作って喜ばれること。それは、とてもやりがいとなります。
–苦労や悩みなどはございますか?
人材確保です。中々、若い方が製造業にきてくれないことです。
▲工場には、3台の焼結炉がある。仮焼きをした後に、1時間焼き、3時間冷却する。
—今後の展望を教えてください。
販路拡大をしながら、継続・安定していきたい。
これからも、お客様のお役に立てるように、粛々と着実に仕事に取り組んでいきたいと思っています。
—これから事業を始めようという方に何か伝えたいことはりますか?
地道に確実に、ごまかさない。品質を大切に、堅実に物を作ることだと思います。
▲検査室の様子。一つひとつ手に取り、素早く見極め検査していく。長く勤めている従業員が多いのも、会社の魅力の一つだろう。
—山口会計を選んで良かったところはありますでしょうか?
創業の時から、安心してお任せできました。真摯に対応してくださり、本業に専念できました。
自社の経理の者も含め、山口会計の担当の方を非常に頼りにしていて、分からないことに対して丁寧に答えてくれるので助かっています。
仕事を含め様々な話に耳を傾ける姿勢にはとても好感がもてます。
担当者より
創業50年の信用と実績に裏打ちされた、確かなモノづくりの技術。そしてそれを支える経営者と社員。経営者も次の世代へバトンタッチすると共に、社員もベテランと若手の融合をはかる。
創業50年の歴史にあぐらをかくことなく、経営者を先頭に、全社員一丸となり、
お客様の要求に応えるべく、日々たゆまぬ努力を重ねる姿勢に大変感銘を受ける。
インタビューの中で、経営者が、ふと放った言葉、
『まずは、品質。信用は後からついてくる。』
その言葉に、様々な不祥事で世間を騒がしている、昨今の大企業が忘れてしまっている何かを感じ取れるような気がしてならない。
粉末冶金製品(焼結部品)製造・販売 多摩冶金工業株式会社
澤田 博幸様
東京都八王子市川口町3769
http://www.tamayakin.com/
*平成29年10月現在の情報です。取材者の主観で記載しています。