コンサルタントと経営者の違い
2015-08-29
最近めっきり涼しくなってきました。
さっそくネット通販で大量の本を買い込んだのですが、その第一弾として読んだ本を紹介したいと思います。
株式会社DeNAの創業者として知られる南場智子さんの「不格好経営」という一冊です。
なぜこの本を選んだかというと、南場さんのキャリアに興味があったからです。
この方はもともとマッキンゼーというコンサルティング会社でバリバリのヤリ手コンサルタントとして働いていた方なのですが、クライアントのとある会社の社長から「そんなに熱っぽく語るなら、自分でやったらどう?」と言われ、起業家に転身しDeNAという会社を立ち上げ、その後上場企業になるまで成長させた方です。
経営者に助言するコンサルタントという職業と、経営者本人(社長)という立場を両方経験されているところに興味を持ちました。
私が知りたかった「南場さんが考える両者の違い」については、本書の中で詳しく触れられていますが、少しだけ紹介したいと思います。
まず、ひとつめの大きな違いは、物事を「提案する立場」と「決める立場」の違いだということです。
コンサルタントとして「A案にするべきです」と言うことには慣れているのに、「A案にします」となるととんでもない勇気が必要になる。
プレッシャーの中での経営者の意思決定は別次元であり、「するべきです」と「します」ではこんなに違うとは、と驚いたそうです。
また、ふたつめの違いとして、両者の「見せる姿勢」が異なると言います。
コンサルタントの場合、できる限り賢く見せようとする姿勢や、適度に上から目線を持つことが必要となる場面が多々あるそうです。
しかしこれらは経営者に転じた途端、一銭の得にもならない。
経営者はいくつもの修羅場をくぐるため、自分の醜い部分をさらけ出してでも誰かに助けてもらわなければ切り抜けられないことが、あまりに多いと言います。
南場さんは今、コンサルタント時代にお付き合いした社長に会うと、「あの時は生意気なことを言ってしまい申し訳ありませんでした」と謝りたくなるそうです。
とは言ってもコンサルタントという職業を評価していないわけではなく、コンサルタントは高度な研鑽が必要な、奥深い仕事を取り扱うプロッフェッショナルだとも言っています。
「経営者の立場と同じ気持ちで提案しています、というコンサルタントがいたら無知である。
優秀なコンサルタントは、間違った提案をしても死なない立場にいるからこそ価値のあるアドバイスができることを認識している」
という一言が最も心に残りました。
読んでみてとても勉強になる一冊でした。
山口会計 瀬口