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モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)の期限切れが、来年3月末に迫る!

2012-05-29

●皆様はモラトリアム法案のことはご存知でしょうか?
 
  簡単に解説します。
 
  中小企業の経営者や住宅ローンの借り手から返済の一時猶予や金利引き下げなどの相談があった場合、
  それに応じる努力義務を金融機関に課すとともに、
  借り手が破綻した場合は貸し倒れの40%を公的に保証する、という内容です。
  実際に平成21年12月同法施行後、中小企業の資金繰りの下支えとなり、15ケ月連続、
  企業の倒産を前年同月比で下回るという効果をもたらしました。
  平成22年9月末時点、中小企業から金融機関などへのリスケジュール(条件変更・リスケ)
  の申請は110万件を超え9割以上が実行され同法は資金繰りと経営改善に大きく貢献しました。
 
  金融庁は平成22年12月14日の発表で、平成23年3月に終了予定でしたモラトリアム法
  平成24年3月まで、1年間延長したのですが、いよいよ平成25年3月に期限切れとなります。
 
●来年3月末に終了したら何が起きるのか? 
 
  現状銀行が中小企業向けに融資実施している45兆円の中には資金回収が困難な不良債権が、
    相当あると思われます。
  終了に伴い現在リスケしていた企業がいきなり、借りていた金額の元本と金利の正常返済を再び
    求められれ ば、 相当に資金繰りに窮することが予想されます。
 
  モラトリアム法案の趣旨としては、法施行により返済資金を企業の再建に割り振り
  リスケしている期間内に企業の再生をはかり正常な借入先に移行させるという側面がありました。
 
  趣旨のとおり再生を果たしている企業もありますが
  円高や東日本大震災で業績が悪化している中小企業が増えていることも事実です。
  そんな状況でモラトリアム法の期限が到来すると、返済の負担に耐えられず、  
  相当数の会社が正常先から要管理先や破綻懸念先に変わると考えられます。
 
●銀行の動きは
 
  そうなると銀行は巨額の貸倒引当金を積み増さねばならなくなる。
  これは、せっかく経営が改善してきた銀行にとっては避けたい事態です。
  そこで予想される動きとしては、
  要管理先や破綻懸念先に分類されて貸倒引当金の積み増しが必要となる中小企業については、
  来年3月末までに破綻処理を進める可能性がある。
  来年4月以降に貸し倒れになれば100%銀行の負担になりかねないが、
  モラトリアム法の期限内であれば貸し倒れになっても40%は国が負担してくれるからである。
 
●対策として
 
  政府の対策としては企業再生ファンドに資金を用意して、再生を手助けすることも考えているようですが
  対象となる中小企業が多すぎて実行力には疑問があります。
 
  現状正常な中小企業の方々も、関係の無い話ではありません、取引先の債権回収について今後
  より注意を要しなければなりません、
    極端な話としては回収が遅れがちな取引先については  現金取引の割合を増やすなど、
    与信が重要になります。
 
  元銀行の融資担当だった方の話では、銀行のリスケは6ヶ月ごとに見直しをしているので
  平成24年9月以降のリスケ申請ぐらいから、リスケを認めない等の動きが顕著になると分析していました。
 
  今年の後半は今まで以上に資金繰りに重点をおいて経営しなければならないことだけは確かです。
 
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