大学決算書
2012-11-07
田中真紀子文部科学相が、3大学新設の不認可発表から、
新しい基準のもとでの再審査へと揺れ動き、挙句の果てに
「現行制度で適切に認可します」と撤回しました。
相変わらずの我儘ぶりですが、基本的には規制緩和で
大学が乱立する中、教育の質の低下を懸念する声も多いのも
事実ですし、全体の40・2%に当たる255学校法人が赤字と
なっています。
10月には創造学園大(群馬県高崎市)を運営している
学校法人「堀越学園」に対し、文部科学省は平成24年度末に
解散を命じることが妥当である」と答申しました。
学校運営に必要な資産がなく、財務書類が適正に作成されて
いないなど違法状態にあり、改善が見込めないと判断したからです。
そこで普段あまり見たことのない『大学決算書』について見てゆき
たいと思います。
学校法人は『学校法人会計基準』に沿って
1.『消費収支決算書』
2.『貸借対照表』
3.『資金収支計算書』
の3種類を作成しています。
一般の売上高にあたる『帰属収入合計』
それに対して費用にあたる『消費支出の部合計』を引くと
差額が『利益』です。
下記の関西のI大学について『消費収支決算書』を検証すると
『帰属収入合計』⇒632,669,906円
『消費支出の部合計』』⇒920,263,835円
となっており▲287,593,929と大幅赤字となっています。
『貸借対照表』は
『負債の部』に『資産の部合計』を除すと総負債比率
50%を超えると危険ライン100%を超えると債務超過となります。
下記の関西のT大学について『貸借対照表』を検証すると
『負債の部』⇒753,691,705円
『資産の部合計』⇒15,931,554,151円
となっており4.73%となっていて非常に健全な状態です。
今回悪い『消費収支決算書』、良い『貸借対照表』を取り上げましたが、
出来れば5期位を『学校法人の財務情報等』で調べること必要です。
(下記URL)から入手できますのでリンクを貼っておきます。
その上で決算情報を一切公開していない学校法人は注意が必要です。
実際に、学校法人「堀越学園」運営する創造学園大は公開してませんでした。
少子化により学校経営が厳しい私立大学が増える中、卒業した母校が
将来無くなってしまう可能性も大いにあり得るので、これからの大学選びも
『大学決算書』から見てからでもいいのではと思います。
山口会計 長島