奇跡のリンゴ
2009-09-16
「奇跡のリンゴ」というタイトルと、愛くるしい笑顔の表紙のこの本に惹きつけられ、ついつい買って読んでみました。
最近では無農薬の野菜や果物はスーパーなどでもよく見かけるようになりました。
種類によっては無農薬で栽培することもそこまで大変ではないものもあるそうなのですが、
特にキュウリやリンゴなどは害虫に弱く、無農薬で栽培することはできないのだそうです。
その絶対不可能とまで言われた無農薬のリンゴ作りに情熱を捧げた、青森のリンゴ農家木村秋則さんの人生の記録がこの本でした。
自らを「効率人間」と称していた木村さんがなぜ「非効率」とも思われる無農薬に取り組んだのか、これまでたくさんの人が挑んできてことごとく失敗してきた無農薬のリンゴ作りをどうやって成し遂げたのか、とても興味深い内容でした。
無農薬でのリンゴ作りは、簡単にはいきませんでした。
何年もリンゴは成らず、家族も貧困へ巻き込み、周囲の農家からも白い目で見られる。
もうダメだと思って、自殺するために入った岩木山の山中で気づいたこととは・・・。
リンゴはリンゴだけで生きているのではない。
自然の生態系の中で生かされているものである。
それは人間だって同じこと。
人間も自然から離れて生きていくことはできない。
薬漬けにされて栽培されたリンゴといま生きている人類がダブッて見えます。
木村さんはリンゴの栽培を通じて私たちに訴えかけてくれたことは、本当に重大です。
無農薬でのリンゴ作りを成し遂げた木村さんの次の夢は、農薬を与えて作ったリンゴと同等の価格で店頭に並べるようにすることだそうです。
裕福な一部の人の贅沢品では意味がなく、農家の人が普通に無農薬リンゴを作り、消費者が普通に無農薬リンゴを買う・・・。
木村さんのこの情熱なら、スーパーの店頭に無農薬リンゴが並ぶ光景が見られるのもそんなに遠くはないかもしれません。
木村さんのこの表紙の笑顔の裏にはとんでもない情熱と苦労が隠されていました。
私もこんな笑顔で笑える人になりたいと思いました。
神庭